IPX を再確認 : GoProの外付けバッテリーALL DAYの耐水性には期待するな

IT速報さんに気になる記事が掲載されていました。 「GoProの外付けバッテリー「ALL DAY」買ってきたから、防水テストしてみる (記事の元ネタ)」 ALL DAY とは、GoPro の"非純正"装着型外付けバッテリーで、恐らく同タイプの中では執筆時点で最も大容量の物です。

記事の内容は「ALL DAY を装着してシンクで流水して耐水性能を試験したが、水道程度の流水には耐えられなかった。」というものでした。 そもそも ALL DAY が公開している耐水・防水スペックは IPX5 ですね。 どの程度の流水を当てたのかは定かではありませんが、IPX5 は激しい流水には耐えられなかったはずです。 GoPro の元の防水性能を考えたら期待してしまう気持ちは分からないではないですけども…。

ここでは、この検証に触発されて私が調べた IPX 防水規格の情報について紹介します。 防水企画については様々な場所で語られていますが、リファレンスなどがなくて分かりにくいんですよね。

そもそも IPX とは何か

そもそも IPX は IEC(International Electrotechnical Commission 国際電機標準会議)が定める 規格(IEC60529)による保護構造の一種であり、 IP~ は International Protection を意味しています。

具体的な保護の程度と試験方法が 海外使用 制御設計.com に掲載されていたのでこれを引用します。 非常によくまとめられていました。アクションカムを使うからにはこれくらいは頭の隅に置いておいた方が良さそうです。 IPX3 以下は省略します。必要に応じて引用元の資料を参照してください。

IPX4水の飛沫に対する保護。いかなる方向からの水の飛沫によっても、有害な影響を及ぼさない構造。
試験半円式の散水装置にて各散水孔当たり毎分0.07ℓの水を鉛直方向から、両端180°までの角度で10 分間散水する。
IPX5噴流に対する保護。いかなる方向からのノズルによる噴流水によっても、有害な影響を及ぼさない構造。
試験内径6.3mm の放水ノズルにて、毎分12.5ℓの水を2.5 ~ 3m の位置から3 分間以上散水する。
IPX6棒噴流に対する保護。いかなる方向からの水の強い、ジェット噴流によっても有害な影響を及ぼさない構造。
試験内径12.5mm の放水ノズルにて、毎分100ℓの水を2.5 ~ 3m の位置から3 分間以上散水する。
IPX7水中への浸漬に対する保護。水深1m に30 分間没しても、水が浸入しない構造。
IPX レベルとその防水性能の程度

またIPX8 についてはこれ以上の耐水・防水性能を持つ場合に適用され、製品によって様々に異なるとされています。

これを見る限り IPX5 の ALL DAY は水道の流水に耐えられそうな感じがしますが、 短時間は耐えられても長時間の流水には耐えられなかったのでしょうね。

その他の資料

IPX レベルと実験の内容については OMRON が公開している資料も見やすく、参考になります。

保護構造について - OMRON

具体的な実験内容は多少異なっていますが、ドコモの携帯電話の資料に示されている IPX の実例も分かりやすいです。 製品にはこういう表記がされていると良いですね。

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