360アクションカムGear360 レビュー:ピンとこないかも
Samsung 製の 360 アクションカム「Galaxy360」を購入してみました。本当は Nikon の Keymission が欲しかったのですが、 発売延期の上、自分が 360 撮影環境必要なタイミングには手に入らなかったので、正直なところ止むを得ずという感じです。
他の選択肢としては、RICOH THETA があったのですが、購入時点では THETA より解像度が高い Galaxy に期待してみたというところです。 GoPro Omni も手が出ないわけではなかったのですが防水じゃないし HERO4 だったので見送り。
前書きはここら辺にしておいて、長所短所については後に続くレビューにしましょう。
同梱品
主な同梱品は、本体、携帯ポーチ、手持ち棒&三脚、ストラップ、レンズ用クロスです。 写真に黒いドーナツっぽいのが映ってますが、パッケージの蓋です。
パッケージと商品本体の "見た感じの" デザインは良いんですけどねぇ。本体はちょっと未来感ありますし。 後述しますが、デザインについても色々あります。
メリットとデメリットの一覧
手っ取り早くメリットとデメリットを一覧しておきます。
メリット
- 発売時点で唯一最高解像度 4K で撮影できる
- 発売時点で最も安価である
- 発売時点で唯一アクションカム並みの耐久性と防滴機能がある
- 編集ソフトがついてくる
いずれにしても「発売時点で」と付けているのは、Galaxy360 発売より以前の段階で発表されていた複数の製品がこれらのスペックを兼ね備えていたためです。 いち早くリリースすることは重要ですからこれについては大いに評価されるべきだと思います。
安価であるところだけは特に評価できるような気がします。RICOH THETA が発売から 1 年近く経過して 4 万円台に対し、Galaxy360 は発売数カ月で輸入すれば 3 万円代でしたから。 (国内で買えば 4 万円超えてきますがスペックに差がありますから、スペック対価格は安価であると言える…ハズ)
とは言え安価である理由がきちんとありまして、デメリットでそれを述べます。
※価格は当時から変更されている可能性があります。
デメリット
- Galaxy 以降のスマートフォン端末としてか "公式には" 接続できない
- 非公式なら 5.x 以降の Android で接続できます
- 編集ソフトの使い勝手がイマイチ悪い
- 解像度が Youtube の標準的な解像度に見合ってない
- 暗がりの撮影に若干弱い気がする
- 水平が取れない
デメリットの詳細については後述します。まとめて解説するほどの内容でない点についてはここで解説します。
センサーがどこの製品を使っているのか定かではありませんし、設定にも依ると思いますが、暗所での撮影に極端に弱い気がします。 他の人が同じシチュエーションで THETA で撮影した映像と比較して、Gear360 の映像はノイズが多く、絵もパリっとしません。
また本体に水平を測る機能が無いもの良くないですね。360 度で撮ると、一般的な撮影以上に水平線は気になるものですが、 自動で補正するような機能もなければ、メーターなども表示されません(ジャイロセンサが積まれていません)。
デザインの良し悪し
デザインの良し悪しについてですが、見た目に近未来感あってカッコ良いので、イメージはすごく良いです。 挑戦的な見てくれだと思います。
しかし、やはり球形は結構独特です。取り付ける(マウントする)場所を選びますし、収納にもそれなりに困ることが増えてくるかと思います。 まぁ収納に関してはポーチに入れておけばある程度乱雑に扱うことができるでしょうけどね。
専用ケース等なしに防滴機能が付いているのはアクションカムだから良いとして、しかしレンズを防御するケースの類はないですし、 SP360 のようにレンズ(カバー)が取り外せる方式でもないので、傷が付いたら本体ごと交換です。 公式にアクションカムと名乗っているのに、それは如何なものかと思います。
標準のマウント形式が三脚穴なのは評価できます。汎用的に色々な所に取り付けることができますし、 他製品のマウンタとも接続が容易になることが多いでしょう。
三脚は三脚として使わないことが多いかも
ミニ三脚は三脚として使う機会が余りない気がします。設置させると映像の半面が地面や机になるからです。 精々机の上を映すのに使えるかもしれませんが、カメラの視線の高さがかなり下がるので、映像で見ると微妙です。
完全にて持ちハンドルとして使うのが良いと思います。三脚の利点があるとすれば机とかに「置いておく」ことができる点でしょう。 レンズに汚れを付着させずに一時的に置いておくことができます。THETA とかより安定性高いですし。
ちょっと悪い方に傾いていますが、三脚の造りはかなり良いです。
三脚(ハンドル)と本体を分けたのは、色んなところにマウントするためでしょうし、 THETA などの手持ち部分があらかじめ用意されているデザインのカメラとは方向性が違う感じですね。
どっちのデザインが良いとは言い難いですが、自分は分離できる方が好きです。 必要ならいわゆる自撮り棒を付ければよい訳ですし。個人的にはゴリラポッドを推しますが。
パッケージのデザイン
パッケージデザインについてももう一声欲しかったです。それなりにデザインされているのですが、蓋がきっちり閉められない。 ディスプレイしつつ保存できるようなパッケージにして欲しかったです。
閉まるには閉まるのですが、少々不安で、開封時に合ったシールが無いとパカっと開いてしまいそうな不安定感があります。
スマホとの接続について
Gear360 は Galaxy 以外のスマートフォンと接続できないという致命的な欠陥があります。 多分スペックのわりに価格を下げてきたのはここに理由が合って、Galaxy, Gear360, GearVR をセットで売りたい所為だと思うのですが、実際のところ失敗に終わってる感じがします(個人的には)。
一応非公式な方法を使えば、Android5.x 以上の Android スマートフォンで接続することができますが、残念ながら iphone は接続できません。
Gear360 と XPERIA X Performance を接続した様子
スマホに接続すると、撮影中の様子を確認できたり、風音の低減、ISO、解像度などが設定出来たり、撮影画面のプレビューができます。
Xperia X Performance と接続した様子が写真の通りです。「Samsung Accessory Service」 をインストールした後、有志の開発したアプリをダウンロードしてインストールすれば、接続することができました。
公式のサポート対象外の話なので、扱いには十分注意してください。トラブルがあっても私(このサイトの運営管理者)は保証しませんし、公式もサポートしてくれません。
アプリケーションのダウンロードは PC で行って、スマホに移してインストールが良さそうです。スマホでダウンロードしようとして何度か失敗しました。
編集ソフトが重すぎる
編集ソフトが無償でついてくるのは重要です。個人的には GoPro は編集ソフトも優秀だと思ってます。だから GoPro を推してます。 Gear360 にも編集ソフトがついてくるのですが、ハッキリ言って出来が良くないです。日本語対応している点は非常に良いですがそれ以外がイマイチ。
まず Gear360Director に映像を入れると、何かのタイミングで唐突に、編集用のファイルの生成が始まります。 そしてそのファイルの生成が完了するまで途方もない時間がかかります。編集用ファイルの生成は当然ながらマシンパワーを食いますし、 他のファイルを編集している間も常にマシンパワーが食われ続けることになります。例えば使わなさそうな動画が含まれていても同様です。
もう少し解像度を落として編集用動画を生成するモードなどを付けてくれないと、高解像度で撮影しても編集がおっくうになります。 Adobe 製品などのメジャーな所では対応していますし、GoPro に関してはフリーソフトであるにもかかわらずこの辺りに対応していますね。 (もっとも一時動画ファイルを GoPro は生成しませんが)
致命的なのは読み込みと選択の重さです。4K などの高解像度で撮影する以上、エンコードなどに不可がかかるのは仕方がないとして、 長い時間撮影した映像ファイルを選択すると、いちいち動画を読みに行っているようです。つまり次の動画の選択に非常に時間がかかる。 操作性悪いです。
別所で述べられていますが、動画の正面方向をドラッグ操作などで切り替えられないのもイマイチです。 不満点を挙げているとまだ長くなるくらい不満点が出ます。
なおスマホだともう少しマシなようですが、代わりに解像度が犠牲になりますし、スマホ本体の熱も心配になります。
公開場所が少なく Youtube とはアス比が合わない
RICOH THETA の良いところは、THETA 運営がきちんと撮影した写真や映像を公開する場所を提供している点にあると思います。 まだまだ 360 度のデータを再生できる環境は少ないですが、スマートフォンなどからアクセスしても見れますし、Facebook やブログなどに埋め込むことができる点が最高です。
Gear360 で撮影した映像については Youtube などのメジャーな場所で公開すれば良いのですが、Youtube の推奨する 360 度映像の解像度と、 Gear360 の 360 度映像のアスペクト比は残念ながら異なります。
Youtube は 16:9, 3840x2160 を推奨しているのに対し、Gear360 は 3840x1920 です。Youtube 側がアップした映像をどのように処理しているのかは定かではありませんが、 多分ちょっと引き伸ばされてしまってます。引き伸ばされれば映像の劣化も大きくなりますし、良いことはありませんね;
事前に調べていなかったのも悪いのですが、最大手である Youtube に対応することを目指してもうちょい解像度を増やしてほしかったところです。
その他の論点
他に熱問題、ステッチの精度などの問題があると思います。詳細を述べられるほど 360 撮影をこなしたわけではありませんので断定はできませんが、概ねで言及します。
長時間撮影すると、本体の熱は上がってきます。夏の屋外は苦しいかもしれません。特に 4K 撮影の場合。 ただし他の撮影機器についても同様のことが言えそうですので、Gear360 が特別悪いかどうかは判断しかねます。
ステッチの精度についてですが、当然のように至近距離は苦しいです。 他の複数レンズカメラについても同様のことが言えますが、1 メートル程度離れた被写体がいることを前提にした方が良さそうです。 あるいは本体側面、レンズの無い側面に被写体が入らないように工夫する必要があります。
Gear360 はレンズ同士がそれなりに離れているので、もしかすると他の製品に比べてズレ(視差)が大きいかもしれません。