GoPro Studio の機能 Flux の効果を比較して検証する

Flux の使いどころ

Flux が有効な動画

サンプルの動画では 240fps で高速撮影した動画を更に Flux によって遅延させ、疑似的に 2400fps を実現する、 なんてことをやってみました (厳密には、一度 30fps まで落としているので正確な 2400fps ではないのですが)。 実際にはこのような使い方をすることはほとんどないでしょう。

例えば 1080px * 30fps や 1080px * 60fps の速度で撮影した動画をスローモーションのように見せるときこそ Flux は使いたいところです。 実際に、そのような画質で高速撮影をすることはできないわけですから。 また検証に示した通り Flux はすごく時間のかかる処理です。したがって現実的にスローで見せられる時間は 0 秒から 5 秒、 どんなに長くても 10 秒程度が限界でしょう。

素早く動く= 画面上の移動距離が長い、対象をスローモーションにしたいときは高いフレームレートで撮影しておいたほうが良いです。 30fps やひょっとすると 60fps の動画ではうまく補間されない可能性があります。検証用の動画では勢いよく噴出する液体を対象にしていますが、 これが 30fps で撮影された動画だったらうまく補間されていないでしょう。

Flux が苦手な動画

Flux はこの記事の冒頭で説明した通り、画像処理によって間を補間する機能です。 基本的には固定されたカメラから撮影された動画に適しています(当然例外はありますが)。 したがって、次のような動画(シーン・カット)では良い結果が得られないでしょう。

  1. ゆっくりと見せたい物体 "以外" が激しく動いている動画
  2. 動いている物体と付近にある静止している物体(背景)の色が近い動画
  3. 動いている物体と静止している物体が著しく、あるいは繰り返し交差する動画
  4. 動いている物体が画面上を大きく移動する動画

これらの条件が組み合わさるほど、画像処理が上手く働かず、良い結果が得られなくなるはずです。 特に、2 と 3 や 2 と 4 の組み合わせは最悪です。

「良くない効果のかかり方」の具体的な例は検証用動画の中にも確認することができます。 噴出していくシーンでモヤっとなっている個所に気が付いているでしょう。実はそれの全てが良くない結果です。 まぁ今回は元から荒い動画であることと、勢いとで誤魔化しているのでそれなりに良く見えてしまいます。 が、特に背景部分に注目すると、人や道が変な形状に変形したり、薄く複製されてしまっていることが分かります。

補間に失敗して不自然に歪む人や背景

この現象は先の 2 や 3 が原因となって引き起こされています。 これらについて詳細な解説を行うには比較的高度な画像処理(技術)に関する説明が必要になるのでここでは取り扱いません。

Flux を用いた編集のコツ

編集する際には中々結果を確認することができませんから、Flux を使いたい個所があれば、先にその個所を出力して Flux の効果を試すのが良いでしょう。 手持ちの編集用 PC がそれほどハイスペックでない場合にもこの方法は有効です。

スローモーションにする動画の前後には通常のスピードの動画を置いて挟むのが良いでしょう。 スローモーションを含めている多くの動画がそのようになっていると思います。 素人っぽさを少しでも軽減するためにお決まりのパターンは取り入れたいところです。 (スローモーションそのものをウリにしている動画は別ですが)

その他

出力先を SSD にするともうちょっとパフォーマンスが上がりそうですが今回は HDD で検証しています。 動画の編集をしている人は HDD の方がまだまだ多いんじゃないでしょうかね。 とは言え SSD も大分値段が下がりましたし、編集時の作業領域として SSD を利用するのも良いですね。

また、ほぼ同一の効果が得られさらに高度な機能を持つ Adobe AfterEffects のプラグインに Twixtor というものがあります。 正直 Flux が出ていなければ購入していたかもしれません。が、私には Flux で十分なようです。

240fps の生の状態から 1% の速度で再生する、リアルな 2400fps の動画、あるいは 30fps に落とした状態で補間が上手くいかない例は作った方が良いのでしょうかね…。